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2026年04月21日(火)

【シマエナガ通信】第3回 留萌地区における臨床研究

今回は過去に留萌地区で行われた臨床研究の成果について紹介します。

2007年から2015年まで当院の院長をされ、後進の育成と経営再建に多大な貢献をされた笹川裕先生(名誉院長、故人)は、臨床研究においても素晴らしい業績を残されました。

笹川先生はこの地区で生活習慣病関連の疾患が多いことに着目し、メタボリック症候群やインスリン抵抗性と虚血性心疾患の関連について次のような方法で解析しました。

  • 糖尿病のない、404名の住民を対象に経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)を実施した。
  • 臨床データとして、病歴のほか、年齢、BMI、腹囲、血圧、空腹時血糖、空腹時インスリン、血清脂質を測定した。
  • インスリン抵抗性の指標としてHOMA-IR(ホーマアイアール)、高インスリン血症の指標としてHOMA-β(ホーマベータ)を計算した。
  • Cox比例ハザード回帰により上記指標の虚血性心疾患に対するハザード比(イベントリスク)を求めた。
  • その結果、平均追跡期間6.7年の間に18名が虚血性心疾患を発症した。虚血性心疾患発症のハザード比は、インスリン抵抗性(HOMA-IR)が4.58、高インスリン血症(HOMA-β)が4.25、メタボリック症候群が2.80だった。

この研究でユニークなのは「糖代謝−虚血性心疾患イクノグラフィ」という解析の図で、グラフ上の円(赤の点線)で囲まれた領域に属している住民から虚血性心疾患を発症する例が多かったというものです。

糖尿病は虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患)の危険因子として知られていますが、本研究は糖尿病を発症していなくとも、インスリン抵抗性や高インスリン血症があると虚血性心疾患の発症リスクが高まるということを明らかにした注目すべき報告です。

なお、本論文は2017年のJournal of General and Family Medicine に掲載されました。

糖代謝−虚血性心疾患イクノグラフィ ▲糖代謝−虚血性心疾患イクノグラフィ

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